2021年03月15日

赤ワイン品種の王様「カベルネ・ソーヴィニヨン」の魅力と国ごとの特徴

ワインにあまり詳しくない人でも「カベルネ・ソーヴィニヨン」という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。多くのワイン愛好家を魅了するぶどう品種のひとつで、その産地ごとに個性的なワインを生み出しています。この記事では、カベルネ・ソーヴィニヨンの人気の所以や産地ごとの特徴について詳しくご紹介します。

カベルネ・ソーヴィニヨンとは

ワイン畑にカベルネ・ソーヴィニヨンが実っている様子
iStock.com/SStajic

カベルネ・ソーヴィニヨンとは、フランス南西部・ボルドー地方原産のぶどう品種。赤ワインを生む黒ぶどうのなかで、世界中で広く栽培されている代表的なもののひとつです。同じくボルドー地方の黒ぶどう品種「カベルネ・フラン」と白ぶどう品種「ソーヴィニヨン・ブラン」の自然交配により生まれ、両方の頭の「カベルネ」と「ソーヴィニヨン」を取って名付けられました。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、フランスのボルドーをはじめ、イタリアやアメリカのカリフォルニア、そしてチリやオーストラリアなど多くの国で栽培され、栽培面積を合わせるとぶどう品種のなかでは広さは世界一。発芽と成熟が遅く、完熟しにくいという特徴から、冷涼な気候よりも温暖な気候を好み、水はけのよい土地での栽培が向いています。

カベルネ・ソーヴィニヨンは小粒で果皮が厚い品種なので、豊かなタンニンと凝縮された香り、深い色調のワインに仕上がります。しっかりとした典型的なフルボディワインが多く、長期熟成によってより深みのある濃厚な味わいを楽しむことができますよ。

なぜこれほどの代表品種に?

カベルネ・ソーヴィニヨンは、赤ワイン用のぶどう品種のなかで、なぜ世界各地で栽培される代表的な品種となったのでしょうか?

まずひとつめの理由としては、温暖な気候で水はけのよい土地であれば、どのような地域でも栽培できるという適応力の高さが挙げられます。また、病気や害虫に対する抵抗力が強い点も大きな理由といえるでしょう。

さらに、カベルネ・ソーヴィニヨンは、その果実の特徴から、長い熟成期間を経なくても濃厚な風味としっかりとした渋味のあるおいしいワインを造ることが可能です。そして、長期熟成させることで、エレガントで複雑な風味やまろやかな渋味へと変化し、同じ品種で造ったとは思えないほどの奥深いニュアンスのワインへと成熟する品種でもあるのです。

つまりカベルネ・ソーヴィニヨンは、栽培のしやすさと品種の特徴から、ワイン生産者からも消費者からも好まれる代表的な品種となったことが分かります。

カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴

お皿を敷いたグラスに赤ワインに注いでいる
iStock.com/debyaho

香り

カベルネ・ソーヴィニヨンは、熟成の若いうちはカシスやブルーベリー、ブラックベリーのような小さくて黒い果実の濃い香りとピーマンのような緑色の野菜や、杉・ミントなどのような清涼感のある香りが特徴です。

そして、熟成が進むにしたがって、干しプラムや完熟のいちじくのような深みのある甘い香りや、黒こしょうやクローブ、鉛筆の芯のようなスパイシーな香りなど複雑なニュアンスのある豊かな香りが感じられます。

味わい

カベルネ・ソーヴィニヨンは、果皮が厚く果肉に対して種が大きいため、ほかの黒ぶどう品種と比べるとタンニン(ポリフェノール)が豊富で色調が濃いワインになります。一般的にタンニンの含有量が豊富なぶどうほど、フルボディのワインになりやすい特徴があり、カベルネ・ソーヴィニヨンから造られるワインは、しっかりと渋味と苦味を感じる重厚で飲み応えのあるフルボディワインになります。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、若いころから豊かな果実味としっかりとした渋味が楽しめますが、熟成が進むことでタンニンは落ち着いて、ふくよかでまろやかな味わいに変化し、香りと共に深みが増します。この熟成によって得られる複雑な味わいと奥深さが魅力といえるでしょう。

各国の特徴と違い

広大に広がるワイン畑
iStock.com/Mulecan

カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界中で栽培されていますが、その国によって味わいや特徴にさまざまな個性が表れます。冷涼な気候の国と温暖な気候な国とでは、その香りや味わいの感じ方がずいぶん違います。では、主な産地とその特徴や違いについて見ていきましょう。

フランス

フランス・ボルドー地方は、カベルネ・ソーヴィニヨンの原産地で、特にメドックやグラーヴなどの水はけのよい左岸地区で多く栽培されています。ボルドー地方は温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に最適と言われていますが、単一品種でワインになることはなく、もっと早熟なぶどう品種であるメルローやカベルネ・フラン、マルベック、プティ・ヴェルドなどとブレンドされることが一般的。

カベルネ・ソーヴィニヨンの出来によって、メルローなどの割合を増やしたり減らしたりしてバランスのとれた味わいを生み出しています。

ボルドー地方以外では、南フランス、ロワール川流域で栽培されています。南フランスでは、ボルドーのように複数のぶどう品種をブレンドしたワインと単一品種のワインの両方が造られていて、ボルドーワインと比較すると軽い味わいが特徴。また、南フランスではロゼワインにも使われます。

イタリア

イタリアでは、主にトスカーナ地方で栽培されています。この地域は、海に近い地中海性の温暖な気候で、年間を通して雨量が少ないのが特徴。トスカーナ地方で栽培される完熟のカベルネ・ソーヴィニヨンから造られるワインは、重厚で豊かな果実味を感じられます。

特にトスカーナ地方のボルゲリで造られる高級ワイン「スーパータスカン(スーパートスカーナ)」は有名で、このワインの主要品種となっています。イタリアのワイン法では、トスカーナ産を表示できずテーブルワインの格付けですが、品質はボルドーワインに引けを取らない超一流であることが認められ人気があります。

アメリカ

アメリカのカリフォルニア州ナパ・バレーは、カベルネ・ソーヴィニヨンの有名な産地です。その栽培面積や生産量は、ボルドー地方に匹敵するほど。ナパ・バレーは、温暖な気候で、長い日照時間と収穫時に雨が降らないという特徴から、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適していて、ぶどうをゆっくりと完熟させることができます。

ナパ・バレーで造られるワインは、完熟したカシスの濃厚な風味と黒こしょうやクローブなどのスパイシーな香りが特徴。複数品種をブレンドしたワインだけでなくカベルネ・ソーヴィニヨン単一品種で醸造されるものも多く、長期熟成に向く品質の高いプレミアムワインなど世界的に評価の高いワインが造られています。

チリ

カベルネ・ソーヴィニヨンは、チリやアルゼンチンなど南米各国のほとんどの国で栽培されています。昼間は日照量が多く夜は冷涼な気候なチリはカベルネ・ソーヴィニヨンに最適の条件が整っていて、主にセントラル・ヴァレーで多く栽培されています。

比較的手頃な価格帯のカベルネ・ソーヴィニヨン100%のワインが多く、そのほとんどがしっかりとした飲み応えのフルボディワインです。高品質でありながらお手頃な価格から「チリカベ」と愛称で呼ばれるほど世界中で人気です。

チリのカベルネ・ソーヴィニヨンは、カシスやブラックベリーなど黒い果実の風味とミントやハーブのような清涼感のある香りが特徴で、ボリューム感がありますよ。

オーストラリア

オーストラリアは、通年温暖である海洋性気候で、特に夏は乾燥して適度に涼しいことからぶどうをじっくりと完熟させることができます。南オーストラリア州クナワラでは、オーストラリア内で高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンのワインが生産されていますが、石灰岩質の土壌に粘土質土壌がかぶさる特殊な土壌で、水はけがよいのが特徴。カベルネ・ソーヴィニヨンの産地として非常に適しています。今現在、赤ワイン用の黒ぶどう品種としては、シラーズに次いで多く生産されています。

オーストラリアのカベルネ・ソーヴィニヨンは、力強く、豊かな果実味とユーカリやミントのようなさわやな香り、そしてチョコレートのような苦味が特徴。カリフォルニアのナパ・バレーのものほど、アルコール度数は高くありません。単一品種のワインだけでなく、シラーズやメルローとブレンドするワインも多く造られています。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界各地で栽培されていて、ご紹介した国以外にも、南アフリカや日本でも栽培され、それぞれの産地の個性が表れています。日本で造られたカベルネ・ソーヴィニヨンは、比較的あっさりとしていておだやかな風味が特徴。ワイン初心者にもおすすめですよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンを使ったおすすめワイン5選

1. ムートン・カデ・レゼルヴ・メドック

緑色の瓶にぶどうの絵とMOUTON CADETと表記された黒いラベルの赤ワイン
¥2,587(税込)〜/フランス/ミディアムボディ

格付け1級のシャトー・ムートン・ロスチャイルドが造る、カジュアルで飲みやすい赤ワインです。色調は、紫色を帯びたきれいなルビーレッドで、カシスやブラックチェリーなどの完熟した果実味と白こしょうのスパイスの香りを感じられます。しっかりとした力強いワインですが、タンニンはとてもなめらか。ビーフシチューやすきやきなど濃厚な旨味のある肉料理と相性がいいですよ。

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2. ソットリーヴァ・アンティカ・カベルネ

緑色の瓶にCABERNETと表記された白いラベルの赤ワイン
¥1,639(税込)〜/イタリア/ミディアムボディ

カベルネ・ソーヴィニヨン100%のイタリアワイン。色合いは濃いルビーレッドで、フレッシュなブラックベリーの香りとハーブやトマトの葉の風味、さらにスパイシーさも感じられます。なめらかなタンニンが特徴で、ジャムのような濃厚な果実味が長く余韻として楽しめますよ。牛肉や仔羊肉、豚肉などの炭火焼きやベーコンやチーズを使う料理などと合わせるといいでしょう。

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3. モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨン

緑色の瓶にMONTES ALPHAと表記された白いラベルの赤ワイン
¥2,178(税込)〜/チリ/フルボディ

世界のワイン愛好家に愛されるモンテス社の上質なカベルネ・ソーヴィニヨンを用いた赤ワイン。完熟プラムやブラックベリー、煮詰めたいちじくのような風味、そしてほのかに黒こしょうのスパイシーさも加わる独特の複雑な香りが特徴です。口に含めば、豊かな果実味とまろやかなタンニンが広がります。スパイスを効かせて焼くステーキやミートソース、ラムチョップなど旨味のある肉料理と合いますよ。

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4. カイケン・ウルトラ・カベルネ・ソーヴィニヨン

緑色の瓶にKAIKENと表記され、山脈のイラストが描かれた黒いラベルの赤ワイン
¥2,374(税込)〜/アルゼンチン/フルボディ

カイケンは、チリのモンテス社とアルゼンチンの肥沃な土壌が見事に組み合わされた、コスパのよい赤ワイン。濃いルビーレッドの色調で、ブラックベリーやレッドチェリーなどの果実味や干しぶどうの凝縮した風味、そしてオーク樽由来のヒマラヤ杉の香りが感じられる奥深い味わいです。合わせる料理は、サーロインステーキやラム肉のソテーなど、がっつりとした肉料理がぴったり。肉料理に負けない力強さが特徴です。

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5. オーパスワン

緑色の瓶に2人の横顔のイラストが描かれた白いラベルの赤ワイン
¥41,970(税込)〜/アメリカ/フルボディ

ボルドーメドック格付け1級ワイン「シャトー・ムートン・ロートシルト」を所有するロスチャイルド男爵と、カリフォルニアのナパ・バレーで品質の高いワインを造っていたロバート・モンダヴィ氏という、ふたりの巨匠が出会って造られた最高級のカリフォルニアワイン。ブルーベリーやカシスの芳醇な香りとバニラの華やかな風味、そしてハーブやスパイスのビターな余韻が長く楽しめます。なめらかなタンニンとやわらかい舌触りが特徴。ローストビーフや濃厚なウォッシュチーズと合わせたいですね。

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カベルネ・ソーヴィニヨンにおすすめの飲み方

レストランでグラスを合わせている男女
iStock.com/Inside Creative House

ワインは、飲むときの温度やグラスの選び方によって、そのおいしさが左右されると言っても過言ではありません。カベルネ・ソーヴィニヨンにおすすめの飲み方について知って、ワインの魅力を存分に楽しみましょう。

おいしさを引き出す温度

ワインには、その味わいや魅力を最大限に感じられる適温があります。カベルネ・ソーヴィニヨンはタンニンが豊富でしっかりとした渋味や苦味を感じられる濃厚なフルボディワイン。

16~18℃と高めの温度にすると、タンニンはまろやかになり、豊かな果実味、余韻の長さなどを最大限に引き出し味わうことができます。温度が低いとタンニンの渋味や酸味が強調されるので注意が必要です。

ちなみに、フルーティーで軽やかなガメイやピノ・タージュなどのライトボディの場合は10~12℃、ピノ・ノワールやサンジョヴェーゼなどのミディアムボディの適温は13~16℃くらいがおすすめですよ。

おすすめのグラス

カベルネ・ソーヴィニヨンをおいしく飲むには、ワイングラスの選び方も重要。ワイングラスには、ワインの味わいや香り、おいしさを引き出す形状があるので、ワインの魅力を引き立たせるグラスをチョイスしましょう。

赤ワイン用のグラスは、ボウルの部分が膨らんだ大きいものが最適。そのなかでも飲み口が広い形状の「ボルドー型」のワイングラスは、口のなかでワインがゆっくりと横に広がるため、ワインの風味や香りを感じられ、渋味をやわらかくしてくれます。カベルネ・ソーヴィニヨンには、ボルドー型がおすすめ。

一方で飲み口がすぼまっている「ブルゴーニュ型」は、軽めのフルーティーなワインに最適。グラスから、細く速くワインが口に入るので、酸味がさわやかに感じられます。「ボルドー型」よりもボウル部分は膨らみ口がすぼまっていて、ワインの繊細な香りを存分に引き立たせてくれますよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンに合わせる料理

木の皿におかれたポークチョップ
iStock.com/Nikolay_Donetsk

カベルネ・ソーヴィニヨンは、しっかりと渋味を感じるフルボディワイン。特に肉料理との相性が抜群です。なかでも、牛肉や仔羊肉、鹿肉など肉質をしっかりと感じられる肉料理と合わせると間違いありませんよ。

肉の旨味を感じられるステーキやローストビーフ、またビーフシチューや煮込みハンバーグのような濃厚でこってりとした味わいの料理にマッチし、ワインと料理を一緒に味わうことでお互いを邪魔せずより一層おいしさを引き立ててくれます。魚料理では、マグロのカツレツやマグロのステーキ、牡蠣のコンフィなどもおすすめ。

また、和食では、カツオやマグロの刺身やすき焼き、豚の角煮など、中華料理ではチンジャオロースーのように旨味や味付けの濃い料理を合わせることで、口のなかはさっぱりとして料理もワインも一層おいしく感じられます。

もちろん、チーズともよい相性で、ミモレットやパルメジャーノのようなハードタイプや、ゴルゴンゾーラやロックフォールなどの青カビタイプ、さらには濃厚な香りと旨味のエポワスやリヴァロなどのウォッシュチーズなどがぴったりですよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンは産地によってさまざまな特徴が表れますが、カジュアルなデイリーワイン向けのワインには煮込みハンバーグや豚の角煮などの家庭料理を、ローストビーフやすき焼きを準備するなら少し奮発したワインを合わせるなど、その料理に見合うワインを選ぶと違和感なく楽しめるでしょう。

知れば知るほど夢中になる!カベルネ・ソーヴィニヨン

世界中で広く栽培され親しまれているカベルネ・ソーヴィニヨン。それぞれの産地や造り手の個性が存分に表れるうえ、熟成によってもさらに変化するというポテンシャルの高さは、多くのワイン愛好家を虜にしています。さまざまな産地のカベルネ・ソーヴィニヨンを飲み比べたり、料理とのマリアージュを楽しんだりと、その魅力に触れてみてくださいね。

※商品価格は、2021年3月3日時点での情報です。

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