2021年04月07日

イタリアを代表する白ワイン “ソアヴェ”とお寿司のマリアージュ

以前参加したワイン会で、とても美味しいワインに出会いました。皆さんご存知、イタリアを代表する白ワイン “ソアヴェ”です。この時口にしたのはジャンニテッサーリという造り手のソアヴェ。2017年ヴィンテージのものです。ミネラリーでフレッシュな味わいに感動し、すっかりファンになりました。

それから数年、ワインショップやレストランでソアヴェの文字をみると、にやっとしてしまうくらいソアヴェ愛を育んできた私ですが、最近とっても面白いソアヴェに出会いました。どんなワインかというと、「厳密にはソアヴェではないソアヴェ」です。これがまた、数年前のソアヴェの感動を塗り替えるほど美味しくて……。

今回は「ソアヴェってどんなワイン?」をおさらいしつつ、私が出会った絶品白ワイン「ソアヴェではないソアヴェ」の味わいとペアリングについて詳しくご紹介します。

ソアヴェってどんなワイン?

ソアヴェ(Soave)は、イタリア北西部のワイン銘醸地です。かの有名な観光地、ヴェネツィアとヴェローナの間に位置します。近くにはイタリア最大の湖、ガルダ湖があります。ヴェネツィアは “水の都”なんて呼ばれますが、ソアヴェもまた水が豊富で豊かな自然に恵まれた土地なのです。ガルダ湖を臨む景観は非常に美しく、写真を眺めているだけでうっとり……。いつか必ず行ってみたい場所のひとつです。

ワインとして “ソアヴェ”を名乗るためには、二つの約束を守らなければなりません。ソアヴェ村で採れたブドウを使うことと、ガルガーネガという品種のブドウを70%以上使うこと、の二点です。ガルガーネガという言葉の響きがなんともイタリアらしいですよね! ガルガーネガは樹勢が強く、よく育ちます。実をいうと以前は、このガルガーネガの生命力がソアヴェの評価を落とすことに繋がっていました

ソアヴェ不遇の時代

ワイン造りのためのブドウ栽培では、濃厚で良質なブドウを収穫するために、あえて果実を間引きすることがよくあります。ガルガーネガの生命力はこれと逆の状態を引き起こします。1本の樹から採れるブドウの収穫量が増えれば増えるほど、果実の香りや味わいが薄く平坦になってしまうのです。農家からすると収穫量が多い方が利益を得やすいため、ソアヴェのワイン人気向上もあいまって「どんどん育てよう!」という機運が盛り上がっていきました。結果として、薄く平坦な果実からニュートラルでたんぱくなワインが出来上がり、「ソアヴェは凡庸で質が悪い」という悪評につながってしまったのです。

近年、「安かろう、まずかろう」というネガティブな評判を払拭するために醸造家たちがさまざまな工夫をこらしたり、ブドウの収穫量制限などの規制が進んだりしたことで、ソアヴェの質は年々向上しているようです。2001年には条件のいい一部の畑を “ソアヴェ・スペリオーレ”というDOCG(イタリアワインの格付けにおける最上位等級)に認定するなど、ソアヴェのブランド化も進みました。

ソアヴェを育てた造り手の「ソアヴェではないソアヴェ」

ソアヴェの基本を念頭に、冒頭で触れた「ソアヴェではないソアヴェ」をご紹介します。

アンセルミ – サン・ヴィンチェンツォ(2019)

黄金色がなんとも神々しい1本です。

このワインの造り手はアンセルミ。彼はもともとソアヴェを、イタリアを代表する白ワインに育て上げた立役者の一人でした。ソアヴェの質を向上させるために、ブドウの収穫量を減らす画期的な剪定方法を導入するなど、革新的なワイン造りを進めました。

しかし彼の努力も虚しく、ソアヴェは一時期数々の悪評にさらされてしまったのは前述の通り。ワインを愛し、ソアヴェという土地を愛していたアンセルミは大きな決断を下します。ソアヴェはイタリアの格付け制度=DOCに認定されているブランドですが、1999年に彼はDOCを脱退。それにより自身のワインにソアヴェの名を冠することができなくなりましたが、あえてその道を選びました。彼なりのワイン哲学を貫くために、必要な決断だったといいます。

当時アンセルミは「愛するソアヴェよ、お前を愛するが故にお前から離れるのだ」というコメントを残したのだとか……。まるで「好きだけど離れなければならない悲恋の恋人たち」のよう。ソアヴェ村の近くには世界的な悲恋の物語『ロミオとジュリエット』の舞台であるヴェローナがあります。アンセルミとソアヴェの関係はロミオとジュリエットの関係にも重なって趣深さを感じます。

そういえば以前スペインのCAVAについて書いたこちらの記事(おうち時間を充実させる、リーズナブルで美味しいおすすめスパークリングワイン ~カバ(カヴァ・CAVA)3選~)でも、同じような哲学を持ったワインを紹介しました。私はこういう、「少し頑固で意地っ張りな職人気質のワイン醸造家」に惹かれてしまうようです。彼らのワイン愛や哲学にはグッとくるものを感じます。

サン・ヴィンチェンツォとお寿司のマリアージュ

一般的なソアヴェは、柑橘類のようなフレッシュな香りに清涼感のある舌触りが特徴的です。ソアヴェは元々「心地いい、爽快な」という意味をもつイタリア語の単語ですが、まさにそんな味わいです。飲み口は軽めで、鮮魚料理によく合うといわれています。

サン・ヴィンチェンツォの味わいは、まさにソアヴェの進化系! 第一印象はとてもフレッシュで、キリっとした酸味が食欲をそそります。ガルガーネガ70%の他に、ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネがブレンドされているのですが、グラスから立ち上がる香りにはソーヴィニヨン・ブランの青々としたハーブのニュアンスを感じます。口の中で転がすとハチミツのような甘い香りとバターを思わせるクリーミーなコクがじんわり広がって、味わいに厚みを感じます。一口飲むほんの数秒の間に、味のグラデーションを体験することができる、面白いワインです。

合わせる料理としておすすめなのはお寿司! 脂の乗ったサーモンやトロなどの濃厚なネタが特におすすめ。サン・ヴィンチェンツォのクリーミーなコクが、寿司ネタの脂と溶け合って、実によくあうのです。そして、酸味が口の中をリフレッシュしてくれるのでいつまでも食べ疲れません。また、ソーヴィニヨン・ブラン由来の香りはわさびとの相性もばっちり。ぜひ、わさびを添えてお召し上がりください。

ワインのオンライン販売情報

ジャンニテッサーリ ソアーヴェ 2019

1本目は私がソアヴェにはまるきっかけとなったジャンニテッサーリのワイン。現在売り出されているのは最新の2019年ヴィンテージです。

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アンセルミ サン ヴィンチェンツォ 2019 

2本目は今回の主役、ソアヴェではないソアヴェことサン・ヴィンチェンツォ。こちらも2019年ヴィンテージです。

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吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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