2021年07月12日

個性豊かな土壌を持つ産地「シャトーヌフ・デュ・パプ」の魅力

ローヌ地方において数々の有名ワインを生み出す「シャトーヌフ・デュ・パプ」。生産者によって、ワインのスタイルが多様に変化するのが大きな魅力です。この記事では、シャトーヌフ・デュ・パプのワインの特徴や使用されるブドウ品種、代表的な生産者をご紹介します。おすすめワインもぜひチェックしてください。

シャトーヌフ・デュ・パプとは

アヴィニョンの標識
iStock.com/darioracane

シャトーヌフ・デュ・パプは、南フランス、ローヌ地方の主要都市アヴィニョンの北部に位置する歴史あるアペラシオンのひとつ。シャトーヌフ・デュ・パプとは、「法王の新しい城」を意味します。

シャトーヌフ・デュ・パプは、13種類ものブドウ品種の使用が認められているのが大きな特徴。フランスのほかのAOCと比較しても最多です。生産者によって1種類だけ使用するワインや、数種類をブレンドするものなどさまざまで、バラエティ豊かなワインが生まれます。

土壌とブドウ品種によって多彩なワインが造られ、価格は約6,000円から数万円もの高級ワインが存在。さまざまな専門誌に絶賛され、高名なワイン評論家を唸らせる評価の高いワインは、ワイン愛好家の注目を集めています。

ワインの特徴

シャトーヌフ・デュ・パプのワインは、生産者によってさまざまなスタイルが生み出されます。多くの赤ワインは、果実味が引き立つ、しっかりとした骨格が特徴。複雑な香りと味わいを兼ね備えた、甘味と酸味のバランスがよいワインです。

日照量が多いため、糖分が上がりやすくアルコール度数が高め。余韻が長く感じられます。以前はパワフルで濃厚なワインで有名でしたが、最近はパワフルさのなかにさらっとした品のよさを感じるワインが多いです。

シャトーヌフ・デュ・パプでは、白ワインは少量生産されています。芳醇な香りと凝縮感のある果実味、豊かな飲みごたえが魅力で、高品質であると評価が高いですよ。

シャトーヌフ・デュ・パプの歴史

シャトーヌフ・デュ・パプのローマ教皇の城
iStock.com/Bunyos

「法王の新しい城」を意味する「シャトーヌフ・デュ・パプ」。14世紀に、当時ローマにあった教皇庁がアヴィニョンに移転され、法王ヨハネス22世がアヴィニヨンのすぐ北にあるシャトーヌフ・デュ・パプに、別荘を建てたことに由来します。

歴代の法王は、ブドウ栽培を奨励し、シャトーヌフ・デュ・パプ周辺はワイン産地として賑わいを見せ始めます。そのため、シャトーヌフ・デュ・パプのワインボトルには、法王の紋章が浮き彫りで刻印されているのを多く見ることができるでしょう。

19世紀には、世界中のブドウを襲った害虫「フィロキセラ」により大きな被害を受けます。また、当時は偽造ワインも流通し、ワインの品質低下が深刻な問題となっていました。そこで、シャトーヌフ・デュ・パプ最古の生産者のひとつである「シャトー・フォルティア」の当主が、産地や醸造などについて定めたルールを立案。ワイン醸造の制度作りに尽力します。シャトーヌフ・デュ・パプは、AOCの設立のきっかけとなった歴史的な産地でもあるのです。

シャトーヌフ・デュ・パプの畑・土壌

小石が転がるブドウ畑
iStock.com/visuall2

シャトーヌフ・デュ・パプのある南ローヌ地方は、地中海性気候です。一年を通して気温が高く、乾燥していて、ミストラルという季節風が地中海に向けて強く吹きつけるのが特徴。雨が少ないため病害のリスクが少なく、ブドウが健全に育つことができます。

シャトーヌフ・デュ・パプは、赤い粘土土壌の上に、ガレと呼ばれる丸い石が転がる土地が有名。一見、荒れた土地のように見えますが、ガレは日中に太陽の熱を集めて高い保温効果を持ち、ブドウを熟成させるのに重要な役割を果たします。また、水はけや通気性がよいため、ブドウ造りには最適の地とも言えます。

シャトーヌフ・デュ・パプでは、北西部から南東部にかけてのエリアにガレのある畑が多く、一方でガレがほとんど無い場所もあります。地質は石灰岩や砂地、赤い砂岩など多種多様。土壌の個性が豊かな地域とも言えるでしょう。

フランス最多。13種のブドウ品種

小石が転がるブドウ畑に実るブドウ
iStock.com/barmalini

シャトーヌフ・デュ・パプは、フランスのアラペシオンのなかでも特に多い、13種類ものブドウ品種の使用が認められています。
使用できる黒ブドウ品種は、以下の8種類。
・グルナッシュ
・シラー
・ムールヴェードル
・サンソー
・ミュスカルダン
・クーノワーズ
・ヴァカレーズ
・テレ・ノワール

白ブドウ品種は
・グルナッシュ・ブラン
・クレレット
・ブールブラン
・ルーサンヌ
・ピクプール
・ピカルダン
の6品種で、「グルナッシュ」と「グルナッシュ・ブラン」を1品種と見て13種類とします。

造られる赤ワインは、グルナッシュ種をメインとすることが多く、実際にはすべての品種をブレンドすることはあまりありません。数種類をブレンドしたり、グルナッシュだけを使用したりと、生産者によって使用するブドウ品種の割合が違い、生産者それぞれの個性を楽しめるワインに仕上がります。

品種が多くて覚えきれない人も多いですが、もしソムリエ試験を受けるなら、13種のブドウ品種をすべて覚えなければなりません。覚え方は、「クブルピピ シサミュクテグムヴァ」。ブドウ名の頭文字を並べたものです。一般のワイン愛好家であれば、すべての品種は重要ではなく、13品種をブレンドでき、グルナッシュやシラーがある、という程度で十分でしょう。

シャトーヌフ・デュ・パプの主な生産者

芝生の上におかれたカゴに入ったブドウ
iStock/Дина Орлова

個性豊かな土壌で、13種類のブドウ品種を使用できるシャトーヌフ・デュ・パプでは、生産者によってさまざまなワインが造られます。ではここで、シャトーヌフ・デュ・パプの主な生産者の一部をご紹介します。

クロ・デ・パプ

シャトーヌフ・デュ・パプで、優れた品質のブドウが造られる区画「クロ・デ・パプ」を所有する名門ワイナリー。クロ・デ・パプとは「法王の畑」を意味し、17世紀からある伝統的な生産者です。

畑には必要最低限しか手を加えず、ワインの有機栽培農法を実施。手間を惜しまず、長期熟成を念頭に置いているため、通常使用するコルクより良質なものを使用し、ワイン造りに情熱を注いでいます。

造られるワインは、濃厚でありながらエレガンスさと複雑さがバランスよく、凝縮した味わい。ワインスペクテーター誌の主催する「年間TOP100ランキング」の常連で、2007年には「シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ」が年間1位を獲得しました。

ドメーヌ・ペゴー

シャトーヌフ・デュ・パプを代表する生産者のなかで、近年数々の賞を受賞したり人気ワイン漫画に登場したりと、もっとも注目を集めたと言える「ドメーヌ・ペゴー」。約21ヘクタールの畑を所有する小さな生産者です。グルナッシュをメインに、認定されている13種類を自社畑で栽培し、すべての品種をブレンドしたワインが作られています。ブレンドの比率は毎年ブドウの状態を見て決められます。

ブドウの収穫はすべて手摘みで、完熟ぶどうのみが選ばれていて、果実の凝縮感と長い余韻を感じるワインが生み出されていますよ。良年のみしか生産されない「キュヴェ・ダ・カーポ」は、ヴィンテージによっては10万円以上の値をつけるという、超高級銘柄。人気ワイン漫画『神の雫』においても「第三の使徒」として登場して人気に火がつき、常に入手困難となっています。

ドメーヌ・フォン・ド・ミシェル

1950年にワイナリーを立ち上げた「ドメーヌ・フォン・ド・ミシェル」の畑は、シャトーヌフ・デュ・パプの東エリアに位置しています。畑の地中に水脈「フォンテーヌ・ド・ミッシェル」が流れていて、これがワイナリーの名前の由来となりました。

ドメーヌ・フォン・ド・ミシェルでは、土壌を尊重するブドウ栽培をおこなっています。20年以上化学肥料は使わず、有機堆肥を使用して土壌を整えていますよ。造られるワインは、やわらかいタンニンとエレガントな味わい。過度に樽の風味が付きすぎない、土壌を活かしたワイン造りを目指しています。

アンリ・ボノー

「アンリ・ボノー」もまた、伝説的な生産者のひとり。アンリ・ボノーが所有する「ル・クロー」は、シャトーヌフ・デュ・パプで最高の区画と言われるほどの優良畑で、所有面積はわずか5ヘクタールです。

芳醇な香りと力強さと深みがあり、よく熟成するワインで、低収穫量、遅摘みで生産量が非常に少ないのが特徴。シャトーヌフ・デュ・パプのなかでも入手困難で貴重なワインとして知られています。アンリ・ボノーは、2016年に惜しまれつつその生涯を閉じ、今後さらに希少性が高まると予想されています。

ドメーヌ・ド・ラ・ヴィエイユ・ジュリアンヌ

「ドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴィエイユ・ジュリアンヌ」は、18世紀から続く古い生産者です。ヨーロッパ全土のブドウを襲った害虫「フィロキセラ」の害を逃れた希少なワイナリーで、樹齢100年を超えるブドウの樹から、果実味豊かなワインを生み出しています。

当主のジャン・ポール・ドーマン氏は、良質なワインは良質なブドウから造られると信じ、除草剤や化学肥料を一切使わない、昔ながらの伝統的な農法を実践しています。古典的ながらも表現力に富んだエレガントなワインを生産していて、2000年にはワイン評価誌で高得点を獲得し、高い評価を得ています。

シャトー・ド・ボーカステル

創業約300年の名門ワイナリーで、高品質のシャトーヌフ・デュ・パプを生み出す生産者として知られるボーカステル。南フランスに有機農法をいち早く取り入れたパイオニア的存在です。

「ワインは多数の品種がブレンドされているほど、味わいに複雑さが増す」と考え、シャトーヌフ・デュ・パプで認定されている13種類すべてを栽培して、ワインごとに吟味してブレンドを決めています。造られるワインは、奥深い複雑味のあるエレガントな味わいですよ。

シャトー・ラヤス

もっとも有名なシャトーヌフ・デュ・パプ生産者のひとり「シャトー・ラヤス」。所有する12ヘクタールの区画は、砂質土壌です。砂は、砂浜を思わせるようななめらかな質感。シャトー・ヌフ・デュ・パプ特有の、大きな石は取り除き、遅摘みでゆっくり完熟させたブドウを使っています。

造られるワインは、シャトーヌフ・デュ・パプのなかでも異質で、やさしく繊細な味わい。ボリューム感ではなく強いミネラル感のある素晴らしいワインを生み出しています。

シャトーヌフ・デュ・パプのおすすめワイン5選

1. シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ キュヴェ・ローランス ドメーヌ・デュ・ペゴー

緑色のボトルに紋章が描かれたシャトーヌフ・デュ・パプのラベルの赤ワイン
¥13,630(税込)〜/フルボディ

どんな年でもすばらしいシャトーヌフ・デュ・パプを造ることで知られる生産者「ドメーヌ・デュ・ペゴー」。シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ・キュヴェ・ローランスは、芳醇なフルボディで、黒プラムや旨味のある肉の香り、かすかにハーブの風味が香ります。絹のようななめらかな口当たりで、しっかりタンニンを感じる余韻の長いワインです。

Yahoo!ショッピングで見る

Amazonで見る

2. シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ クロ・デ・パプ

緑色のボトルに紋章とクロ デ パプと書かれたラベルの赤ワイン
¥14,850(税込)〜/フルボディ

シャトーヌフ・デュ・パプの最高の造り手である「クロ・デ・パプ」のワイン。グラスに注ぐと、ブラックカラントやブルーベリーなど黒系果実の香りとシナモンやクローブなどのスパイシーな風味が広がります。まろやかな酸味としっとりとしたタンニンを感じる複雑な味わいを楽しめますよ。

Yahoo!ショッピングで見る

Amazonで見る

3. シャトーヌフ・デュ・パプ・ルージュ シャトー・ド・ボーカステル

緑色のボトルに紋章が描かれたシャトー・ド・ボーカステルのラベルの赤ワイン
¥15,180(税込)〜/フルボディ

シャトーヌフ・デュ・パプの生産者として評価の高い「シャトー・ド・ボーカステル」。シャトーヌフ・デュ・パプで認定されている13品種すべてをブレンドして造られるワインです。その年のもっとも出来のよいのブドウを使用するため、ヴィンテージによってブレンドの比率が異なり、個性があります。なんとも言えない調和のとれた香りと味わいが魅力。

Yahoo!ショッピングで見る

Amazonで見る

4. シャトーヌフ・デュ・パプ アンリ・ボノー

緑色のボトルにシャトーヌフ・デュ・パプを筆記体で描かれたラベルの赤ワイン
¥21,329(税込)〜/フルボディ

「シャトーヌフ・デュ・パプのロマネ・コンティ」とも言われる著名な生産者のひとり、アンリ・ボノー。世界でもっとも影響力のあるワイン評論家ロバート・パーカー氏は「ボノーのワインは並外れた凝縮感や個性を持っている。熟成能力という点ではほぼ不死身と言えるワイン。彼は伝説的人物だ」と称していて、評価は最高ランクにあると言えます。グルナッシュ種の濃厚な果実味が感じられるワインです。

Yahoo!ショッピングで見る

Amazonで見る

5. シャトーヌフ・デュ・パプ クロ・デ・パプ・ブラン

黄緑色のボトルに紋章とクロ デ パプと書かれたラベルの白ワイン
¥10,780(税込)〜

「クロ・デ・パプ」で、毎年800ケースほどしか生産されない稀少な白ワイン。ほかでは見ないほどの凝縮感のある果実味と、長い余韻が魅力です。熟したメロンや洋ナシ、柑橘系果実の香りに、白い花やアニスを思わせる風味が複雑に絡み合いますよ。濃密なミネラル感とキレのよい酸が特徴。

Yahoo!ショッピングで見る

Amazonで見る

シャトーヌフ・デュ・パプのワインと相性のよい料理

ステーキとブロッコリーなどがのっている白いお皿とグラスワイン
iStock.com/Chiyacat

シャトーヌフ・デュ・パプで造られる赤ワインは、フルボディが中心。シナモンやクローヴなどのスパイスの香りと力強い果実味、しっかりとした旨味のある味わいです。

肉料理と相性がよく、特にジビエ料理がおすすめ。牛肉や羊肉、鹿肉などのしっかりとした肉質の赤身肉と格別にマッチしますよ。また口当たりがボリューミーなので、ゴルゴンゾーラやロックフォールなどの青カビタイプや、濃厚な香りと旨味のエポワスやリヴァロなどのウォッシュチーズなどとの食べ合わせがよいです。

さらに、濃厚な味付けの豚の角煮やすき焼きなどとも相性抜群。スパイスの効いた中華料理とも合わせやすいですよ。

複雑で多彩な味わい「シャトーヌフ デュ パプ」

多彩なワインを生み出す「シャトーヌフ・デュ・パプ」。グルナッシュ種による赤い果実の香りが際立ち、ほかのワインでは味わえない複雑さと凝縮感のある味わいで、多くのワイン愛好家を虜にしています。ご紹介したワインは、強烈な個性を感じる生産者のものばかり。見かけたらぜひ手に取ってみてくださいね。

※商品価格は、2021年6月30日時点での情報です。

この記事をSNSでシェアする