
2022年10月01日
ワインを飲むときに「ヌーヴォー」というワードが出てくることがあります。ヌーヴォーとは、ワイン名だけではなく、訳すと意味があるんです。この記事では、ヌーヴォーとはどういう意味なのか、ボジョレー・ヌーヴォーとは、相性のいい料理などをソムリエが徹底解説していきます。
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ヌーヴォーとは、フランス語で「新しい」「初物」「新着」「新酒」などの意味があります。ワイン名に、ヌーヴォーとついている場合は、収穫されたばかりのブドウでできたもの。できたてホヤホヤの、新酒ということになります。しかし、すべてのフランスの新酒が、ヌーヴォーとして販売されているわけではなく、ヌーヴォーといわずに販売されている商品も多くありますよ。ヌーヴォーが造られる理由は、その年のブドウのできを確認することや、収穫のお祝いとして振る舞うことが多いです。
フランス以外で有名な新酒は、イタリアの「ヴィーノ・ノヴェッロ」やドイツの「デア・ノイエ」、スペインの「ビノ・ヌエボ」などがあります。現地で飲まれることが多く、日本ではあまり多く輸入されない、珍しいワインでもありますよ。また日本では長野や山梨が国産新酒を製造しているとして有名です。
ヨーロッパや日本などは、秋ごろに収穫をします。しかし、南半球で生産されるニュージーランドやオーストラリアなどのワインは、ブドウの収穫は3月頃。そのため、収穫後醸造し、日本に輸入されてくるのは夏頃です。ボジョレー・ヌーヴォーやヴィーノ・ノヴェッロなどのヨーロッパの新酒よりも、早く販売されるため「夏ヌーヴォー」と呼ばれることも多くなりました。
ヌーヴォーといえば、ボジョレー・ヌーヴォーを想像する方が大半だと思います。秋の風物詩にもなり、テイスティングイベントやワイン会も多く開催されていますよね。日本でも有名なボジョレー・ヌーヴォーについて、詳しく学んでみましょう。
ボジョレー・ヌーヴォーの一番の魅力は、同じ年に芽吹き、実ったブドウを同じ年にワインとして飲めるところ。基本的にフランスワインは、収穫して醸造してから、短くても1年ほどの熟成期間があります。しかし、ボジョレー・ヌーヴォーは、その年に飲める特別なものです。実はフランスの正式なヌーヴォーはボジョレー・ヌーヴォーしかないんですよ。
フレッシュな果実味や爽やかな酸味で、とても飲みやすいワインが多いのも特徴的。ブドウ品種であるガメイは、やや甘味があるブドウでもあります。そのため、ワイン単体でもサラリと飲めるのもうれしいポイントです。
ボジョレー・ヌーヴォーは、11月の第3木曜日に解禁です。日本は、時差の関係でフランスよりも早く抜栓できるので、少し得した気分になれますよ。
ボジョレー・ヌーヴォーとは、収穫祭で振る舞われるワインでした。特に解禁日も定められず、早くリリースすればそれだけ多く売れていたという背景があります。しかし、早くリリースすると、早出し競争のようになり、ワインの品質が低下してしまいました。そのため、ボジョレーワイン協会が解禁日を11月15日に設定。しかし、日にちを決めたことで、解禁日が土日の場合、空輸が間に合わないなどのトラブルが出てきました。
そこで、11月の第3木曜日という解禁日が設定されたのです。現在では、フランスの法律でも解禁日が守られ、厳重に管理されていますよ。
ボジョレー・ヌーヴォーは、赤ワインとロゼワインの2タイプあります。ボジョレー・ヌーヴォーは、ガメイという赤ワイン用のブドウ品種を使用することが決まっているので、白ワインを造ることはできません。
しかし、ボジョレー・ヌーヴォーを造るボジョレー地区では白ワインの生産が可能です。ヌーヴォー(新酒)ではないですが、ボジョレー地区で造られた白ワインは、飲むことができますよ。
現在もボジョレー・ヌーヴォーの輸入本数は、世界で一番です。なぜここまで人気があり、有名になったかというと、時差の関係で、フランスより8時間も解禁時間が早いことや、バブル時代のワインブームで、甘味のあるボジョレー・ヌーヴォーは飲みやすいと知られたことが、きっかけといわれていますよ。
ボジョレー・ヌーヴォーは、渋味が少なくベリー系の果実味が楽しめるので、ワイン初心者さんでもおいしく飲めることが、今でも人気なポイントです。
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ヌーヴォー(新酒)は、赤白ロゼと世界各国さまざまなワインが造られます。すべてのヌーヴォーに言えることは、フレッシュでフルーティーという点。醸造過程や熟成期間が短いため、深みや渋味より、爽やかでブドウのフルーティーな味わいが楽しめるワインです。
食事をあわせる場合は、こだわった料理よりもカットフルーツやフレッシュタイプのチーズ、ピクルスやオリーブなど、少し酸味のあるさっぱりしたおつまみと相性がいいですよ。また、フレッシュトマトとモッツァレッラにバジルを添えるカプレーゼは、イタリアのヴィーノ・ノヴェッロとよく合います。
ワインの酸味が苦手な方は、干しブドウやドライイチジクなどの、ドライフルーツと一緒に味わってみてください。こだわった料理ではなく、ワインの果実味を存分に楽しみながら飲んでみてくださいね。
ヌーヴォー=ボジョレー・ヌーヴォーと思われがちですが、ヌーヴォー(新酒)は世界各国で造られています。その年のブドウをワインで味わえる、特別なワインがヌーヴォーです。フランス産だけでなく、さまざまな国の新酒を探してみてください。南半球で造られる夏ヌーヴォーや、国産ヌーヴォーなどもとてもおいしいですよ。ぜひ、赤白ロゼといろいろなタイプのヌーヴォーを、試してみてくださいね。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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