2021年12月01日

進む「県名ワイン」のブランド化 「GI長野」の特徴とオススメ「長野ワイン」

先日、東京西麻布にある日本ワイン専門ショップ「遅桜」(おそざくら)さんにお邪魔しました。ここ数年世界に引けを取らないレベルにまで進化した日本ワイン。遅桜さんでは常時250種類以上(!)の日本ワインを取り扱っているとのことで、以前から気になっていたのです。和モダンの落ち着いた雰囲気の店内であれこれ物色していたところ、1本のワインに目がとまりました。それがこちら。

長野県塩尻市のサンサンワイナリーさんの「柿沢シラー」です。なぜこのワインが気になったのかというと、ラベル左肩にあしらわれたこちらのマークにご注目。

「長野県原産地呼称管理委員会認定」マークです。実はこの時が、このマーク付きのワインとの初めての出会いでした。ワインのことを知っていくと必ずどこかで「原産地呼称保護」「地理的表示保護」と表現されることもある)という考え方に出会います。一言でいうと「産地のブランド化をおし進めるためにワインの品質を一定水準以上にコントロールする」というものです。写真のマークがついているということは、長野県の原産地呼称保護制度で「一定水準以上の品質だよ!」と認定されたブランドワイン……ということになります。初体験に嬉しくなって、そのままレジに直行してしまいました。

ここでふと思い出したニュースがあります。今年2021年6月、日本の「地理的表示(GI)制度」に新たに3府県のワインが登録されたというニュースです。3府県とは長野県、山形県、大阪府のこと。もともと2013年に山梨県、2018年に北海道が登録済みのところに、この3府県が追加された形です。簡単にいうと、 “県名ブランドワイン” として合計5府県が国に公認されたということになります。さて、先ほどご紹介した「長野県原産地呼称管理委員会認定マーク」付きワインと国公認の「地理的表示(GI)制度」認定ワイン、どう違うかわかりますか? 

国の地理的表示(GI)制度とは

そもそも日本では、ワインに関して国税庁がさまざまなルールを定めています。まず第一関門として「日本ワイン」を名乗るために一定のルール(※1)をクリアする必要があります。次に「日本ワイン」として認定されていることを条件に、さらに厳しいルール(※2)をクリアした場合のみラベルに「産地、ブドウ品種、ブドウ収穫年」を記載することができます。この時点で既にラベルには細かい情報が記載されることになり、消費者である私たちは「何県のどんなブドウから作られたワインなのか」を把握することができます。それに対してさらに追加のお墨付きを与えるのが、国の地理的表示(GI)制度です。国……といっても管轄はやはり国税庁です。
※1:国産ブドウのみを使って日本国内で醸造されなければなりません。
※2:地名表示ルール、品種表示ルール、収穫年表示ルールがそれぞれ定められています。

GIは「Graphical Indication」の略。もともとWTO(世界貿易機関)が加盟国に対してワインの保護を義務付けたことを受け、制度が設けられました。GI制度は「特定の地域で生産されるワインが、その産地ならではの特徴を備えており、かつ継続的に安定生産されており、将来的にその特徴や品質が保たれるような適切な管理が行われていることを認定する」ことを目的に運営されています。つまり「県名ワインのブランド化を国が公認する」ことにつながっているのです。

GI制度に登録されるには、都道府県が国に対してプレゼンを行い、国が許可する必要があります。自分たちのワインの特徴や、その特徴がその地域で生まれる理由について明確に言語化し、安定生産する体制を整えなければなりません。現在のところ、山梨、北海道、長野、山形、大阪の5府県が選考をクリアしている……というわけです。

前述のとおり、「日本ワイン」を名乗ったり「産地、ブドウ品種、ブドウ収穫年」をラベルに記載するだけなら、全国共通のルールをクリアすればOKです。それに加えてGI認定されるには、対象の5府県で生産されるワインであることを前提に、各府県が定める厳しい生産基準をクリアしなければなりません。見事認定されたワインには「GI山梨」や「GI長野」というように、GI認定ワインであることの証が記載されます。

「長野県原産地呼称管理制度」と「GI長野」の関係とは

それでは「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン」と「GI長野認定ワイン」はどう違うのでしょうか。もともと長野県では「長野県原産地呼称管理制度」が先行して運用されていました。制度を管理する委員会が国税庁に「GI長野」の登録申し立てを行い、2021年6月30日に無事登録されたという流れになります。

大雑把にいうと「GI長野」は「長野県原産地呼称管理制度」の考え方を踏襲しており、「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン」と「GI長野認定ワイン」はほぼ同等の特徴・品質を備えていると考えて差し支えありません。厳密にいうと、「GI長野」には「GI長野プレミアム」という上位クラスが用意されており、現在のところ「GI長野プレミアム」の認定のみが行われている状況です。今後プレミアム以外にも「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン」は「GI長野認定ワイン」に移行していくと発表されています。

そのことを念頭に、冒頭で紹介した “認定” 長野ワイン「柿沢シラー」の味わいをレポートします。

オススメ「長野ワイン」と楽しみ方

長野ワインの特徴

「GI長野」ぶどう酒 生産基準によると、長野県の赤ワインには「濃い色調、骨格のあるタンニン、適度な酸味を備えた凝縮感の高い味わい」が特徴としてあらわれます。長野県といえば全国2位のワイナリー数を誇る日本有数のワイン銘醸地。日本では無理! と思われていたメルローなどの国際品種の栽培に成功したことでも有名です。「桔梗ヶ原メルロー」がとても有名ですよね!

長野ワインのその他の特徴を詳しく知りたい方は、「NAGANO WINE 応援団」のサイトをチェックしてみてください。

NAGANO WINE 応援団

柿沢シラーの味わいとオススメペアリング

「柿沢」は長野県塩尻市にある、サンサンワイナリーさんが所有する自社畑の名前です。そこでとれるシラー種のブドウ(89%)とメルロー種のブドウ(11%)で造られています。2020年7月8日に「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン」になりました。塩尻の冷涼な気候のもとで育ったシラーにはしっかりとした酸味が宿っています。シラー種特有のスパイシーな香りも感じつつ、とっても繊細な味わい。ピノ・ノワール種やガメイ種のワインに雰囲気が似ています。

酸味がきいているので、台湾風酢豚(甘味が少なくお酢とニンニク、ネギがとってもきいているスパイシーな酢豚)との相性がばっちりです! 軽く飲む場合はぜひゴーダチーズに合わせてみてください。ゴーダチーズも酸味が強めで、ワインとの共通点が多くとてもよく馴染みます。

柿沢シラー 販売サイト

最後に

GI制度の詳細とオススメ長野ワインのご紹介、いかがでしたでしょうか。ちなみに冒頭で紹介した日本ワイン専門ショップ「遅桜」さんでは、オプションで風呂敷を活用したラッピングをしてくれます。浮世絵柄や、竹久夢二デザインの柄など、多数ある風呂敷から好きなものをチョイスできます。プレゼントや手土産にピッタリなので、ぜひみなさんもお試しくださいね!

西麻布 日本ワインショップ 遅桜

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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