2021年12月22日

大阪ワインに歴史あり! 「GI大阪」認定ワイン味わいレポート

今、日本ワインのブランド化が加速しています。今年2021年6月には長野県山形県大阪府の3府県が新たに日本の「地理的表示(GI)制度」に登録されました。山梨県新潟県とあわせて合計5府県が国公認の「県名ブランドワイン」として盛り上がりをみせています。「地理的表示(GI)制度」の詳細は「進む「県名ワイン」のブランド化 「GI長野」の特徴とオススメ「長野ワイン」」をチェック!

今回は大阪府のワインにクローズアップ。「GI大阪」(=大阪府の「県名ブランドワイン」)に認定された至極の1本を取り上げつつ、大阪ワインの特徴をまとめます。

大阪は日本有数のワイン産地だった!?

串カツ、たこ焼き、かに料理……美味しいものが目白押しのグルメな街、大阪。繁華街の賑やかなイメージからは連想しにくいのですが、実は日本有数の「ワイン産地」です。大阪府のワイナリー数は2019年3月31日時点で8軒、全国7位にランクインしています(国税庁「国内製造ワインの概況」より)。そう聞くと「少ないじゃないか」と思われるかも知れません。大阪のワイン造りは歴史の荒波にもまれて激動の変遷をたどり、今まさに復興の動きが加速し始めたところなのです。

大阪でワイン造りが始まったのは1500年代後半……織田信長の全盛期、安土桃山時代にまで遡ります。当時は商業ベースのワイン造りではなく、農家の軒先で自家消費用のブドウ酒造りが行われたという記録が残っているそうです。舶来品に目がない織田信長が生きた時代、庶民の間で国産ワインが誕生していたとは……歴史のロマンを感じます。

その後、各所で盛んにブドウ栽培が行われるようになり、1930年代にはブドウ栽培面積で全国1位に君臨。全盛期には110軒以上のワイナリーが稼働していたといわれています。日本トップのワイン銘醸地山梨県の現在のワイナリー数が82軒であることを考えると、当時の大阪のワイン産業がいかに盛り上がっていたかがわかります。

こんなに活気づいていた大阪ワイン産業がなぜ低迷してしまったのか……。それは1960年前後に相次いで日本列島を襲った、超大型の台風が原因だといわれています。各地に甚大な被害をもたらした大型台風は大阪のブドウ園にも大ダメージをあたえ、急速にブドウ栽培が縮小。宅地化をベースにした都市計画のあおりも受け、ブドウ栽培面積、ワイナリー数ともに激減してしまいました。

状況が好転したのは2000年代に入ってからのことです。日本中でワインブームがわき起こり、長野県では日本初となるワインの「原産地呼称管理制度」がスタート。その流れにのって大阪ワインを復興するべく大阪ワイナリー協会が設立され、本格的な復興の狼煙があげられたのです。大阪府の発表によると、2021年8月時点で大阪のブドウ栽培面積は全国9位。かつての地位に返り咲いたわけではありませんが、確実に存在感を高めてきています。

大阪ワインといえば「デラウェア」

大阪で盛んに栽培されているブドウの品種は「デラウェア」です。

デラウェア種はわたしたち日本人にとって、馴染み深いブドウの一種。スーパーマーケットの果実コーナーでよく見かける小粒のブドウです。アメリカのオハイオ州で発見された品種だといわれています。ワインの勉強をし始めたとき「デラウェアっていう名前なのだから、デラウェア州原産だろう」と思っていたらまさかのオハイオ生まれで印象深かったのを覚えています。ネーミングがトリッキーすぎますよね(実はオハイオ州の「デラウェア市」生まれらしいです。その市の名前、ありなんですね)。

生食用のイメージが強いデラウェア種ですが、日本ではワイン用ブドウとしてもメジャーな品種です。果皮の色から赤ワイン用かと思いきや、またまた予想を裏切り白ワイン用です。他の赤ワイン用ブドウに比べると皮が薄く色づきも淡いので、白ワインとして醸造した方が良さが引き出されるわけですね。日本で造られる白ワイン用ブドウの中で、デラウェア種は第3位の生産量といわれています。日本ワインに欠かせないブドウなのです。

先ほど書いた通り大阪のブドウ栽培は1900年代後半に一度壊滅的な打撃を受けました。そこから目覚ましい速度で復興をとげつつあるその中心には、デラウェア種の存在があります。現在、大阪でのデラウェア生産量は全国3位大阪ワインのうち約1/3がデラウェア種から造られています。さっきからなぜか数字の「3」に縁がありますね。

デラウェア種から造られるワインは甘い香りが特徴的で、とてもフルーティ! 果物のイメージが強いので甘口ワインを連想しがちですが、ちゃんと辛口も造られています。むしろ、デラウェア種の辛口ワインはキリッと爽やかな酸味がきいていて辛口ワイン好きの舌をもうならせるポテンシャルを秘めています。一度味わったらファンになること間違いなし。食事にもあわせやすく、冷蔵庫に1本常備しておきたい存在です。

GI大阪認定ワインを飲む

大阪のワイン造りやデラウェアの特徴を理解したところで、実際に「GI大阪」認定ワインを飲んでみましょう。今回は第二回GI大阪審査会で認定された、こちらのワインを選んでみました。

金徳葡萄酒 デラウェア 2021(河内ワイン)

大阪ワインといえば! なデラウェア種の白ワインです。なんと透き通った美しいワインなのでしょうか……! クリア、とにかくクリアです。伝わりますか、このクリアさが。白い紙を背景にしたものもご覧ください。

ほんのりレモンイエローに色づいていますが、とにかくクリア! 今まで飲んだワインの中でも最もクリアなのではないだろうか……そう感じるほどにクリアなのです。

肝心のお味はというと……最初に感じた香りにはメロンのような雰囲気があり、とってもスイート。キンモクセイのような華やかさも感じます。口に含むとほのかな甘味とスッキリした酸味、まろやかな旨味がじゅわっと広がって、バランスのいい味わいです。

大阪ワイナリー協会ではGI大阪認定ワインの味わいの特徴を以下のように規定しています。

「大阪のワインは、デラウェア等の食用品種を主体とし、醸造用ぶどうの生産にも大阪で長年培われた食用ぶどう栽培技術を活かすことで、ワイン原料に新鮮で美しいぶどうを用いることを特徴とする。そのワインは、凝縮された果実味と穏やかな酸味やほどよい旨味を感じることができ、心地よい余韻が残る、食との相性が良いものである。」大阪ワイナリー協会「GI OSAKA ワインの特徴」より

「新鮮で美しいぶどう」、「凝縮された果実味と穏やかな酸味やほどよい旨味」……金徳葡萄酒 デラウェア 2021には特にこの部分をしっかりと感じることができました。クリアなのに味わい豊か、このギャップがまた魅力的です。

一口飲んで「まるでリースリング!」だとも感じました。リースリング種の白ワインがお好きな方ならきっと気に入る味わいなのではないでしょうか。リースリングを連想させる味わいなので、合わせるおつまみに「加工肉」をチョイスするのもアリだと思います。例えば生ハム×メロンや、パテ・ド・カンパーニュなど。私はソーセージ&ザワークラウトに合わせてみましたが、とてもよくマッチしました。ソーセージの燻された香りとの相性も、ザワークラウトの酸味との相性も抜群です。みなさんもぜひ、お試しください!

この他にもいくつかの銘柄がGI大阪に認定されています。気になる1本を見つけて、ぜひ楽しんでみてくださいね!

河内ワイン 公式サイト

大阪ワイナリー協会 公式サイト

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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