
2022年10月01日
ワインの資格は、さまざまな種類があります。その中でも、ワイン愛好家の中では特段レベルの高い「J.S.A.ワインエキスパート」というものがあるんです。この記事では、ワインの知識を学べるJ.S.A.ワインエキスパートについてソムリエがご紹介していきます。試験内容、ソムリエとの違い、難易度、合格率、メリットなど、いろいろな観点からJ.S.A.ワインエキスパートを深堀していきますよ。
J.S.A.ワインエキスパートとは、1996年から一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が認定している民間資格です。ワインの職についていなくても、満20歳以上のワイン愛好家の方なら誰でも受験できる資格ですよ。試験形態は少し変わりますが、ソムリエと同じくらいの難易度の資格なので、獲得することでワイン愛好家の中でもワンランク上の存在になれます。
ワインの資格というと、「ソムリエ」を思い浮かべる方も多いと思います。ソムリエとワインエキスパートの違いは、受験資格が変わってくるんです。ソムリエは、ワインに関する職歴が3年(会員の場合は、2年)以上で現在も勤務していること、月に90時間以上勤務していることなど、が項目として上がっています。このように、ワインの職についていても、職歴年が足りずソムリエ試験を受けられない方もいるのです。そのような方は、ソムリエ試験を受験する前に、ワインエキスパートを受験する方もいますよ。
ワインエキスパートは、ソムリエのようにプロの資格ではないので、そこまでむずかしくないのではないかと思われがち。しかし、ソムリエ並みに難易度は高い資格です。ソムリエ資格を受験する方と同じ教本で、出題範囲も同じになります。そのため、ワインの知識をプロ並みに一から徹底的に詰め込まなければいけないので、半年〜1年以上は勉強することをおすすめしますよ。しかし、プロ並みの内容を勉強でき知識を得て、資格として獲得することができるので、ワイン愛好家の中でも尊敬される存在になれることは間違いありません。
過去3年分のワインエキスパート合格率は、2019年(44.2%)、2020年(43.3%)、2021年(40.7%)となっています。更にさかのぼると、合格率は30〜39%ほどだったので、少しだけ合格率が上がってきているのかもしれませんね。しかし、合格率が40%前後なので、狭き門ということは間違いないですね。また、一次試験は突破しても、二次試験で不合格になる場合もあります。一次、二次と連続して合格するのは、相当勉強しないとむずかしいです。
ワインエキスパートの試験は、一次試験と二次試験に分かれています。一次試験では、CBT方式を採用。試験期間に予約した会場日時で、パソコンにてランダムに出てきた問題を100問近く解く試験です。後日合否がわかるのではなく、その場でわかるシステムです。また、2度受けることもできます(2回受験の場合は、試験料が変わります)。試験範囲は、「(受験年度)日本ソムリエ協会教本」から出題され、各国のワインについて造り方、歴史、ブドウ品種、地域の特徴、その他のお酒などを詳しく出題されますよ。
二次試験は、一発勝負。ワインとワイン以外のお酒を銘柄見ずにテイスティングする試験です。出題されたものを飲みながら、生産国、ブドウ品種、ヴィンテージ、味わいや香りの表現などを選択しながら答えていきます。こちらは、筆記試験でおこなわれますよ。
ワインエキスパートを勉強すると、プロ並みに世界各国のワインに詳しくなれます。細かな土壌や産地の違いやブドウ品種の面白さ、醸造方法、マリアージュなど、ワイン愛好家ならさらにワインを好きになること間違いなしです。また、ワインをさらに探求したくなる力も湧いてきます。日常のちょっとしたときに飲むワインも、こだわりたくなるはずですよ。
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ワインを選ぶときに、値段や好きな銘柄ばかりを探して買ってしまうことがあります。しかし、ワインエキスパートでワインの勉強をすることで、新しい国のワインを飲んだり、自分の好みが広がったり、ワイン選びにもさらに幅が広がります。さまざまな国のワインの味わいや雰囲気をイメージできるようにもなるので、シチュエーションに応じてワインを選ぶことができるようになりますよ。また、プレゼントやワイン会でも相手のことを考えながらワインを選ぶことがスムーズにできるようになります。
ワインエキスパートに合格すると、日本ソムリエ協会が認定している「ワイン検定」という資格の講師をすることができます。ワイン検定とは、ワインを勉強し始めた初心者さん向けの資格です。講師になるためには、合格後ソムリエ協会にて認定講師の講習があります。そちらに参加することで、ワイン検定の講師と資格試験を開催できるのです。せっかくワインエキスパートでプロ並みの学びを得たからには、誰かに伝えたいと思うこともあるでしょう。このように、自らの手でワイン愛好家を増やすこともできるのですよ。
ワインエキスパートは、ワイン愛好家なら誰でもおすすめの資格です。しかし、好きな国や好きなところだけ勉強するだけでは合格できません。したがって、世界各国のワイン全体を勉強したい方、ワイン業界で働きたい方、ワイン講師をしてみたい方などにおすすめです。たとえば、ワインを飲み始めて少しだけ勉強してみたいなという方は、「ワイン検定」の受験をしてみるのもいいですね。またワインエキスパートの前に「ワイン検定」を受けてみて、初歩を学ぶのもおすすめです。
ワインエキスパートの独学合格は可能です。暗記や勉強が得意な方は、教本をしっかり勉強すれば一次試験は突破できると思います。しかし、二次試験であるテイスティングは、テイスティングのコツや表現方法などは教本には載っていません。したがって、二次試験は独学で勉強するよりは、ワイン教室で学ぶことをおすすめします。授業では、毎回本番同様のシチュエーションでおこなわれるブラインドテイスティングがあり、解説もあるので自分の間違えやすいポイントやワインの特徴をしっかり掴めるのでいいですよ。
2022年度のワインエキスパートの申込みは、3月上旬〜7月15日までとなっており終了しています。しかし、教本の分厚さを見ると実感すると思いますが、ワインエキスパートの勉強はしかり理解できるまでには、半年から1年程度要するでしょう。したがって、一年前の今から少しずつ試験の情報を入手していきましょう。受験してみたいなという方は、本屋さんでいろいろな方が合格するためのテキストを出しています。読んで見てみと、イメージが付きやすいと思いますよ。また、来年度絶対受験するという方は、教本を早く入手するためにも、申込みスタートしたらすぐ出願しましょう。ワインエキスパートを取得して、ワインをさらに楽しく飲みましょうね。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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