2022年07月20日

シルクロードの中継地、アゼルバイジャンのワインとアジアンな “魚介系調味料”

王道もいいけれど、日本ではあまり見かけないちょっと “変わった” レアなワインが好きです。ワインはただ美味しいだけではなく、土地や造り手の個性を映す鏡であり、歴史の象徴であり、異なる文化とのコミュニケーションツールでもあります。行ったことのない国でもその土地のワインを手にとれば、興味を抱くきっかけになります。

今回ピックアップするアゼルバイジャンも、ワインをきっかけに親しみを感じた国のひとつ。アゼルバイジャンの基本情報をまとめつつ、“魚介系調味料” との相性が抜群な、私の推しワインを紹介します。

アゼルバイジャンってどんな国?

アゼルバイジャンは黒海とカスピ海に挟まれた、コーカサス地方と呼ばれるエリアにあります。 一般的に “ワイン発祥の地” といわれるジョージアに隣接しており、「実はアゼルバイジャンこそが “ワイン発祥の地”  なのだ!」と説く人もいます。 “ワイン発祥の地” 話には諸説ありますが、どうやらコーカサス地方周辺であることは間違いなさそうです。

国名の「アゼルバイジャン」はペルシャ語で「火の国」という意味です。カスピ海沿岸の石油や地下に眠る天然ガスなど、この国は非常に豊富なエネルギー資源を有しています。「ヤナルダグ(燃える丘)」と呼ばれる観光地では、地表の割れ目から噴出する天然ガスがかれこれ2千年以上自然発火し続けているのだとか。そんな光景から「アゼルバイジャン」と名付けられたといわれています。大地から地球の情熱がほとばしっている場所、それがアゼルバイジャンなのですね。

こちらは「火の国」を象徴する有名な建築物「フレイムタワー」。燃え盛る炎を表しているそうです。表面には約10,000枚のLEDパネルが敷かれているのだとか。「メンテナンス大変そう……」なんてツッコミは野暮でしょうか。豊富なエネルギー資源は豊かな富をもたらし、街をふくふくと育んでいきました。発展した首都バクーは「第二のドバイ」と呼ばれています。

また、アゼルバイジャンは世界有数の親日国としても知られています。なぜか世界中で日本人だけ、アゼルバイジャンの入国ビザを無料で取得できるそうです。すごいことです。ソ連崩壊に伴う独立の混乱の中、日本を戦後復興のロールモデルにすえたのが今日の親日対応の始まりなのだとか。中東の国にはどこか遠い世界のイメージがついてきますが、アゼルバイジャンの親日対応を耳にすると親近感を抱かずにはいられません。

それでは、主役のワインの話。

アゼルバイジャンのロゼワイン

ワインの味わいは土地の食文化に寄り添いながら発展するといわれますが、アゼルバイジャンも例外ではありません。アゼルバイジャン料理は周辺国のイランやトルコの影響を強く受けています。ハーブや乳製品(ヨーグルト)を使った料理が多く、スパイシーな風味や酸味をうまく取り入れています。例えばケバブとか。そんな食文化と歩調を合わせるように、アゼルバイジャンワインも酸味とスパイシーさが特徴的なスッキリ系が多いといわれます。

特に白ワインやロゼワインは魚介系の味わいにとてもよくマッチします。国の東側にある世界有数の “塩湖” カスピ海はキャビアの名産地で、アゼルバイジャンの白ワインとカスピ海産キャビアの組み合わせを一度味わったらヤミつきになること間違いなしなのだとか……。

そんなアゼルバイジャンワインの中でも今回は、アゼルバイジャン屈指の名門といわれるシャビアン・ワイナリーの美しいロゼワインをピックアップしました。 

少しオレンジがかったサーモンピンクの液色が、トロピカルな夏のムードをもりあげてくれます。ブドウは土着品種の「マドラサ」種100%。気になる味わいは……。

【味わいの特徴】
グラスに注ぐと柑橘系のビタミンを感じるフレッシュな香りがふわっと立ちあがります。続くのは芳しいライチの香り。ゲヴュルツトラミネールまではいかないものの、華やかなライチ香がエスニックな雰囲気を演出してくれます。口に含むとキュンと新鮮な酸味が心地よく舌を刺激し、後からぶわ〜っと広がるのはこれでもかというほどのミネラル感と旨味! ミルキーです。さすが黒海とカスピ海にはさまれた土地で育まれたワイン。一言でいうと「コクと酸味のワイン」です。

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“魚介系調味料” との美味しい出会い

先ほど「アゼルバイジャンの白ワインやロゼワインは魚介系の味わいにとてもよくマッチする」と書きました。シャビアン・ワイナリーのロゼワインもやはり魚介に合う味わいなのですが、ミルキーな風味やコクを強く感じることから、特に発酵した “魚介系調味料” との相性が抜群です。

オイスターソース

まずは忘れちゃいけない、オイスターソース! 牡蠣から造られる “魚介系調味料” の王様です。牡蠣のまろやかなコクと強い磯の香りが閉じ込められた濃厚なソースは、エスニックなアジア料理に欠かせません。ミネラリーな風味もしっかり感じられ、特徴をあげればあげるほどシャビアン・ワイナリーのロゼワインの味わいに似ているのです。これだけでもう、相性が想像できます。

ナンプラー

お次は存在感抜群、個性が光る “魚介系調味料” のメインボーカル、ナンプラーです。タイで生まれたナンプラーの別名は魚醤(ぎょしょう)。カタクチイワシなどの魚介類を塩漬けし発酵させた調味料です。醤油のような香ばしい風味に塩辛のような旨味・コクをプラスした味わいです。クセのある風味ですが、この強烈な旨味とコクのハーモニーが、濃い味わいのワインに寄り添ってくれるのです。

おすすめペアリング

オイスターソースとナンプラーを使って味付けする料理はたくさんありますが、特に今回ピックアップしたワインの味わいに合わせるには辛味とまろやかさをプラスしたいところ。 “魚介系調味料” の味わいとスパイシーな辛味とまろやかな舌触りが渾然一体となった理想の一皿は……。

食欲そそるアジアンフード、ガパオライス!

さまざまなレシピがありますが、オイスターソースとナンプラー、鷹の爪(輪切り唐辛子)で味付けし、半熟の目玉焼きが乗っているタイプのガパオライスが理想です。旨味とコクが盛大にきいた具にトロリとろける卵の黄身を絡めて口に運べば、ワインとの相性ばっちりの「これぞマリアージュ!」な味わいを体験できます。

中東のロゼワインとエスニックなアジアンフードの共演、不思議なご縁に感じます。昔はシルクロードでつながっていたのかなと想像しながら、悠久の歴史のロマンとともにゆっくり味わってみてください。


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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